省エネ型自然冷媒機器とは
最近では、多くの省エネ機器が出回るようになりました。その普及は、家庭用のものだけにとどまらず、冷凍冷蔵倉庫などでも大きな役割を担っています。特に業務によって使われる省エネ機器は、エネルギーの消費量を抑えてくれるため、経営の面でも支えになると言えるでしょう。
また、省エネ型自然冷媒機器はフロン類の排出を軽減することから、環境破壊などの手助けにもなってくれます。現に、環境省はこのように有能な省エネ型自然冷媒機器を広めようと、省エネ型自然冷媒機器普及促進事業を展開しています。さらに、省エネ型自然冷媒機器を導入したい企業が申請をすることで、助成金がもらえる制度も整えています。
省エネ型自然冷媒機器の種類と効能を理解する
省エネ型自然冷媒機器といっても、種類は数多くあり、メーカーによってもその効能には違いがあります。以下に、冷凍冷蔵倉庫などで役に立つだろう機器をいくつかご紹介します。
1.CO2冷凍機・スーパーグリーン(日本熱源システム株式会社)
日本熱源システム株式会社より展開されている「CO2冷凍機・スーパーグリーン」は、冷凍冷蔵倉庫にふさわしい冷凍機システムです。特徴は、CO2(二酸化炭素)を冷媒としている点だと言えるでしょう。CO2は自然冷媒のため、地球温暖化などの環境破壊に影響が出にくいうえに、無味無臭・無毒なので、安心して業務に使用することができます。
また、スーパーグリーンは、二段圧縮システムを利用することでCO2の冷媒液を溜めておき、約0度の冷蔵と、-20℃~-45℃の冷凍の同時冷却が可能となっています。そのため、さまざまな用途で使用することができるのです。同時冷却と言うと大きなエネルギーが必要だと思われがちですが、年間の消費電力はフロンガスと比べると、15~20%も削減。さらに、複雑な設備が不要になっているため、イニシャルコストも抑えられます。
さらに、スーパーグリーンは空冷式のため、水の管理や水道水が不要な点もメリットです。
2.CO2冷媒対応・ノンフロン冷凍機(パナソニック)
パナソニックが開発した「CO2冷媒対応・ノンフロン冷凍機」は、自然冷媒の中でも毒性がないCO2に着目しました。また、コンプレッサーには、冷媒が2段階に圧縮されるしくみを取り入れています。つまり、吸収された冷媒は1段目で中間圧力まで圧縮され、中間冷却熱交換器により冷却。2段目に到達したときには、本来必要な圧力加減まで高められるのです。こうすることで、圧力の効率化を実現させています。
さらに、庫内の冷凍機器の管理や制御をするマスターコントローラーも開発。マスターコントローラーは、インターネット経由で冷凍機の運転情報を確認することができ、運転の最適化などを行うことで、省エネ運転をサポートしています。
3.高効率自然冷媒冷凍機 「NewTon(ニュートン)」(株式会社前川製作所)
株式会社前川製作所が製作した「高効率自然冷媒冷凍機 NewTon(ニュートン)」は、圧縮と熱交換、制御という冷却に重要な部分に、最先端の技術を取り入れました。そのため、効率良く物を冷やせるしくみとなっています。つまり、冷却設備全体の消費エネルギーを削減することを実現したのです。また、冷凍機から排出されるCO2の削減も目指しています。
また、機器を使い続けることに対する安心感や安全にも追及しました。冷媒アンモニアは機械室に閉じ込めるしくみとなっており、外に排出できない構造になっているので、安心して作業を行えます。
さらに、2020年にはフロン冷媒が全廃止されることが決まっています。そのため、NewTon(ニュートン)は環境破壊に影響しない自然冷媒アンモニアでCO2を冷却する、間接冷却方式を取り入れています。フロン冷媒全廃止の前から、積極的に環境問題に配慮した機器を世に送り出しているのは魅力的ですね。