業務用大型冷凍庫・家庭用の冷凍庫共に、霜がつく理由の原理としては共通です。すなわち、空気中にある水蒸気や、厨房で特に発生しやすい水蒸気などが庫内で急激に冷却され、その水分が霜となるわけです。
しかし、家庭用の冷凍庫や冷蔵庫についてはそこまで大きさがありませんし、パワーも家庭用という基準に収まるくらいですから、霜といってもさほどのことではありません。
また、最近の霜取り機能が強化されている家庭用冷凍庫や冷蔵庫については、霜取りが必要ないというケースもあります。
ただし、業務用大型冷凍庫となると話は別です。業務用の大型冷凍庫は基本的に想定される設置場所も非常に水蒸気などが発生しやすい厨房ですし、一般的なキッチンと比べても環境としては霜がつきやすい環境と言わざるを得ません。つまり、スペースや様々なスペックを考慮しても、霜がつきやすいのです。
また、業務用の筐体は、家庭用冷凍庫などのように霜取り機能がついていないケースも多く、手間をかけて霜取りをしていく必要があります。
さらに、非常にパワフルな業務用の筐体の中では、冷凍庫だけではなく冷蔵庫にも大きな霜がついてしまうケースもあるでしょう。
家庭用冷凍庫や冷蔵庫などであれば、霜取り運転やデフロスト運転のモードに切り替えることにより、効率的にそしてスピーディーに霜を溶かすことができます。
しかし、厳格な品質管理や温度管理が求められる業務用大型冷凍庫などの場合、むやみにデフロスト運転をすべきではないケースもあるでしょう。
デフロスト運転は基本的に「De frost」、フロスト(霜)をde(オフする・離す)する運転です。つまり、「霜を溶かす運転」ということになりますので、冷凍庫内の温度が一時的であれ上昇します。
そのため、業務用の大型冷凍庫では霜取り運転をするのは適切でないケースも多いのです。また、スペックや筐体の大きさからして、デフロスト運転がそもそもふさわしくないケースもあります。
そのため、物理的な方法で少しずつ霜を取り除いていく必要があります。特にお勧めできる方法としては、現場ではよく使用される方法である、霜が付いているところをプラスチック製のハンマーもしくは木製のハンマーで、軽くコンコンと叩いて霜を割り落としていく方法です。
もちろんメーカーがこの方法を推奨しているわけではありませんので、自己責任で行う必要はあるものの、全国的に見て多くの冷凍庫を扱う業者が行なっている方法です。
この方法を使うことにより、スピーディーかつ効率的に霜を取り除くことが可能となります。融かすのではなく凍っている状態のものに衝撃を加えて、「はがしていく」という方法となりますので、特にデフロスト運転による冷凍庫内の急激な温度上昇などに留意する必要もありません。
その他にも考えられるのは、冷凍庫の電源そのものをオフにして、中の氷が溶けるまで数時間以上待つという方法です。
しかしこの方法は、中にしまいこんでいた食材の管理や様々な事情によって実際に業務用大型冷凍庫を運用しなければならない現場においては、現実的でないケースの方が極めて多いため、あえてここでは割愛します。
霜が大量に付着してしまう状態まで放置してしまうと、ハンマーなどで氷を叩き割るような形で霜取りをする必要が出てきます。そのため、基本的には霜がそこまで大きくならないように毎日のメンテナンスを心がけることが重要です。
そして日々の業務用大型冷凍庫のメンテナンスの中で行なっておきたいのが、スクレーパーによる霜の除去です。霜が小さいうち、あるいは薄いうちであれば、業務用大型冷凍を購入した際に付属してくるスクレーパーもしくは資材店などで入手可能なスクレーパーを利用して、氷を削り続けるという方法が取れます。
霜が大きくならないように細かく削っていくというのが、本来の霜取り方法として適切なものと言えます。
大型冷凍・冷蔵庫の場合、家庭用とは異なり、霜取り運転の機能が付いていないケースもあります。また、業務用の使用用途から見ても、家庭用とは比べ物にならないほど頑固な霜が発生するケースが多く、こういった場合には日々のメンテナンスで霜が薄いうちに削り落としておくということが重要です。
どうしても厚い霜が付着してしまった場合は、今回ご紹介したような方法で氷を叩き割っていくというのも一つの方法となっています。