工場内のさまざまな機器を省エネ機能付きのものに切り替える
長い運営歴史がある工場は、エアコンなどの空調や照明は昔からのものを使っているというケースも意外と多いことでしょう。あまり意識していない部分かもしれませんが、これらの機器が電気代のかさみに影響を与えていることもあります。
例えば、数十年前からエアコン設備を変えていないならば、新しい機器に変えた方が省エネにつながる可能性は高いです。古いエアコンはエネルギーの消費量が高く、その分電気代が上がる場合が多いのです。しかし、新しいエアコンならばほとんどが省エネ機能を備えていますので、工場の規模や用途に合わせたものに買い替える方が良いでしょう。
また、季節ごとにエアコンを最適な温度に保つことを心がけたり、電源を付けたり消したりせず、適温を維持したりすることが大切です。さらに、エアコンのフィルターのそうじもこまめに行いましょう。フィルターの目詰まりなどが起こると大幅にエネルギーが消費されることになりますので、日々のメンテナンスも重要です。
エアコンと同様、工場内にはある程度の数の照明が必要です。照明があることで、工場内のスタッフは作業がしやすいですし、業務もスムーズに進みます。しかし、照明の種類も昔から変えていない場合は、電気代を高く支払わなければならない可能性も出てきます。なぜなら、昔の照明は発熱量が高いわりには寿命が短いというデメリットもあるからです。
そのため、照明器具はLED照明に切り替えることがおすすめです。LED照明は発熱量が低いにも関わらず明るく、寿命が長いといわれています。つまり、今までと同じ照明数でも大幅に電気代が削減できるのです。
電気代削減を考えるなら、現在の電気料金の詳細を理解する
空調や照明を新調したいけれど、今は予算がないという場合には、現在の電気料金を見直してみましょう。そうすることで、今以上に電気代の削減ができる可能性は大いにあります。
1工場内の電気料金の計算方法
工場内の電気料金は、家庭内の電気料金の計算と基本的には変わりがありません。月の電気代の構成は以下のようになっています。
基本料金+従量料金(電力量単価±燃料費調整単価+再生可能エネルギー発電促進賦課金単価))×使用電力量(kWh)− 割引総額
また、工場では高圧電力を使用しているケースが多いので、30分デマンド値により基本料金が算出されます。これは契約電力によって、数値が異なってきます。
もう少し詳しく説明すると、契約電力が500kW未満の場合は、過去1年間の最大デマンド値(最大需要電力)の中で、最大のデマンド値を契約料金として制定します。さらに、契約電力が500kW以上になっている場合は、電力会社と協議のうえで契約電力を決める必要があるのです。
あわせて、基本料金には力率割引があり、85%の力率を基準に基本料金に反映されます。
この計算式に数字を当てはまることで、電気料金がどのぐらいかかっているのか理解することができるでしょう。
2.電気の基本料金・単価を下げるには
電気代は、上記に説明したデマンド値と力率が電気代を下げるポイントとなります。つまり、デマンド値と力率の改善を行うことで、電気代を削減することも可能です。
デマンドを計るには、0~30分と30~60分の区切りで数値を出します。ここで算出された最も高い数値が契約電力と基本電力の基準となります。そのため、30分でも大幅に電力を使用した日があれば、おのずと電気料金が上がってしまうのです。つまり、電力を使うときは一度に大量に利用するのではなく、負荷を分散しながら利用することが大切です。
また、力率についてですが、これは85%を超えると基本料金が1%ごとに1%値引きされるようになり、最大で15%の割引がなされます。しかし、85%を下回ると基本料金が1%ごとに割り増しとなってしまいます。電力を有効に使い、85%を超えることで得になるしくみを持っているので、コンデンサで電力を制御したり、省エネ型コンデンサに変える工夫を行うことがポイントです。
電気料金の計算をしながら単価を下げる工夫を行うのは、意外と手間のかかる作業でもあります。このような時間や労力が取れない場合は、今まで契約していた電力会社を新しいところに切り替えるという方法も。電力会社によって金額は異なりますので、今までよりも電気代の削減ができる可能性があります。